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2019.11.14

令和元年の仕込み

令和元年11月11日、今年度の仕込みをはじめました。

 

大豆は佐賀県のフクユタカ。吸水が早く蒸しあがりが良好でした。

小麦は最初の4本は前年のゆめちから。その後今年度産の春よ恋。どちらも北海道の高たんぱく品種です。

蒸した大豆を炒った小麦を混合しているコンベア。種麹を降りかけています。

出来上がった麹。大豆1200㎏×2、小麦1000㎏×2で麹の重量が今回は2455㎏×2。麹の状態は良い仕上がりです。

麹と塩水を混合。塩水は桶が少し小さいので3300リットル。

すべて投入した状態。諸味の温度は18.5℃。温度は高めですが、今後外気温の影響で下がっていきます。一年後の仕上がり成分は、全窒素分1.75%、塩分16.8%、アルコール分2,5%の見込みです。

今年度は、一週間に4本の桶に仕込み、合計で70本の仕込みを行なう予定です。

 

2018.11.16

さいしこみしょうゆ

左は9か月間経過した通常の塩水仕込みのもろみ、右は二回目の仕込みから21カ月間経過したさいしこみのもろみ

仕込み水に生揚げを加える

「しょうゆの日本農林規格」での「さいしこみしょうゆ」の定義
しょうゆのうち、大豆にほぼ等量の麦を加えたもの又はこれに米等の穀類を加えたものをしょうゆこうじの原料とし、かつ、もろみは食塩水の代わりに生揚げを加えたものを使用するものをいう。

塩水に大豆と小麦で作った麹を仕込むのが「こいくちしょうゆ」。「さいしこみしょうゆ」は生揚げを加えた塩水で仕込みを行なう。正金醤油の「さいしこみしょうゆ」は仕込み水の全窒素分を0.85%~0.90%、塩分を17.8%~18.5%としている。(数値に幅があるのは、二回目に仕込む原材料によって期待される最終的な成分が異なること。仕込み時期、熟成期間にも幅があることによる。)一つの桶(こが)に3600リットルの仕込み水なので、生揚げを約1900リットル使用する。

その仕込みの条件での生揚げ時点での仕上がりは、全窒素が2.2%~2.4%、塩分が14.0%~14.8%となる。香り成分のアルコール分は約2.0%。

正金醤油が好ましいと考える「うま味と塩辛さのバランス」、「全体的な味と香りのバランス」を考えるとこの条件になる。

 

さいしこみしょうゆの特徴

仕込み水に使う醤油の味、その上に新たな麹を加えて味を重ねていく。香りも元の仕込みのものに重ねられていく。 色も二回目の麹によって、新たにできてくるので赤みが強いものができる。 塩分は二回目の仕込みの際に再調整できるので、低塩分が可能。

 

醬油屋による違い

一度成分調整してできるというところが、さいしこみしょうゆの良いところで、その調整の仕方がそれぞれの醤油屋で違いがある。それぞれの醤油屋で普通の生揚げでも違いがある上に、その調整の違いが加わるので、最終的な仕上がりも特徴のあるものになる。

2018.09.06

小豆島、正金醤油の桶仕込み

小豆島の天然醸造と発酵タンクでの適温醸造の違いについて

桶仕込みの酵母発酵

5月に入ると、諸味の中で、酵母が増殖するための栄養面での条件は整ってきている。
あとは温度が必要。酵母発酵の最適な温度は25℃だが、蔵の中では、25℃に至るまでは時間がかかる。諸味の温度は気温とともに少しづつ上がっていく。20℃に近くなると、発酵してくる桶が出てくる。早く仕込んだものから発酵が始まるというわけではない。
正金醤油では11月から3月の間に仕込みをするが、11月に仕込んだものから発酵が始まるわけではない。11月に仕込んだものが発酵していないのに、2月に仕込んだものが発酵するということもある。温度や㏗は変わらないのに突発的に発酵が始まる。
5月の気温が高いことも原因なのかもしれないが、ここ数年は5月から発酵が始まる。2018年は5月4日から表面が膨れ上がるものが出てきた。最も遅く発酵が始まったのは6月10日だった。
5月初旬の桶の中の諸味の温度は約16℃。酵母菌が最も活発に働く25℃には程遠い。それでも、この時期から酵母発酵が始まる。活発に発酵しているときの温度は約20℃で、6月下旬には気温が上がることと発酵による発熱があることから、諸味の温度も25℃になるが、その時は発酵は弱いものになっている。
その後、真夏の暑い時期となるので、諸味の温度は上がっていき、8月に入ると28~29℃になる。小豆島の8月の平均気温は28~29℃なので、諸味の温度もほぼ同じになる。

 

2018年5月4日、一番奥の二つの桶の諸味が盛り上がってきた

2018年5月24日、すべての桶の諸味が盛り上がっている

 

風味はどう変わっていくか

4月
甘い印象が強い。香りは蒸した大豆、炒った小麦の香り、少し香ばしさが感じられる。
5月
甘味が弱くなってくる。旨味が感じられるようになる。発酵しているからアルコール臭がしてもよいはずだが、原料の甘い香りのほうが印象的に感じられる。
6月
それまで気にならなかった麹のような香りが感じられる。味は出来上がる途上を感じさせるもので好ましい。色は40番程度。
7月
発酵は終わった感じなのに麹の香りが消えない。味は好ましい感じでまとまる方向に進んでいく。色は35番程度。
8月
麹の香りが消えてくる。不安にさせる香りの要素はなくなる。味もまとまりが出てくる。若い醤油として使える状態になる。色は30番を下回ってくる。
9月以後
9月以降は香り、味、色が深まっていく。

 

小豆島桶仕込みは理想的とされる温度経過とは異なる

桶仕込み天然醸造は、適温醸造で理想的とされる温度経過ではない。香りの高さ、旨味の強さでは適温醸造の方が成績が良い。品質を高めるための最適な温度管理なのだから成績がよいのはあたりまえだ。

桶仕込みは発酵最盛期に諸味温度が上がっていなくて、発酵が終わった後に温度が上がるということで、醤油造りの理想的な温度とされる適温醸造の温度とは違う経過をたどっている。発酵後の高温経過により、香りが飛散しやすいこと、色が付き過ぎることなどは、明らかなマイナス要因と考えられる。

 

おだやかさ、やさしさが感じられる醤油、より好ましいものに仕上がるように

長くこの桶仕込み天然醸造をやっているが、適温醸造との経過のギャップは常に不安要素だ。しかし、この違いが小豆島桶仕込みの特徴を生み出すものでもある。この環境のなかで、より好ましいものに近づけていくことの積み重ねの中で、正金醤油の桶仕込み醤油は、おだやかな香りでやさしい味が感じられるものになっている。